五月待つ 花橘の香を嗅げば 昔の人の 袖の香ぞする 古今和歌集 よみ人知らず
和歌のように、ある匂いや香りを嗅いで、過去の記憶が想い出されるということがあります。
また『記紀』では、田道間守(たじまもり)が垂仁天皇の命により、常世国(とこよのくに)(エデンの園のような楽園)で、永遠に香っているとされる非時香果(ときじくのかぐのこのみ)を持ち帰ったと記されてあります。私たち日本人の祖先は、橘の香りをとおして、ある種の理想郷や楽園を、また魂の故郷としての常世の国や、本来の人間のあるべき姿を思い出し、甦らせようとしていたと考えられます。
鳥羽市はこの橘が市の木(倭橘)となっておりますことから、これらの製品には、鳥羽市答志島に自生する貴重な橘の果皮が配合されております。匂い袋の色は、かさねの色目の「花橘」を、御にほひ箱の手描きの図柄には橘の実と花を華やかにあしらいました。
楽園の象徴である「橘」が香る鳥羽を感じていただけたら幸いです。 |