鳥羽商工会議所が創設、国の認可を受けたのは1963年です。2023年1月23日に60周年を迎えることとなりました。もう少し遡りますと、前身の鳥羽商工会の創立が1955年。近代工業としては明治初期、九鬼水軍の流れを組む鳥羽藩士が中心となり、鳥羽城大手門跡をドッグとし、造船業の創業と隆盛を受けた鳥羽造船所、後の「神鋼電機(現在のシンフォニアテクノロジー)」があり、工業会の設立が1913年ですので、民間経済団体経済としての系譜を辿れば110年となります。現在は観光産業を主体とした都市産業構造ですが、このような産業・企業振興の礎、歴史を連綿と繋いだ上に今日があります。
地域が直面する課題は枚挙にいとまがなく、これまで国内有数の観光地・伊勢志摩地域の宿泊・観光施設の拠点として特化しリードしてきましたが、近年その基盤構造に衰退、陰りが見られ、変遷・流動化する観光動向に対応するソフト・ハードの社会インフラを再設計・再構築する必要性を感じています。
もう一度“鳥羽の輝きを取り戻す”ために「懐かしい未来実現への第一歩」として、“鳥羽の誇りと街の新価値創造”、“企業・市民所得の向上”、“コロナ後の変革を余儀なくされる社会経済活動への対応”を中心に事業推進し、地域固有の自然・文化・人的資源を最大限に活用し展開することで、実の有る地域活性へ繋げることが可能だと考えております。
九鬼水軍が移封された三田藩からは、第二次大戦後の日本経済を再構築するために尽力した国際人であり実業家である“白洲次郎”、鳥羽藩からは米国から生命保険業を導入し創業した門野幾之進、同じく土木工学を学び財界の中心で活躍し、日本商工会議所会頭等の役職を歴任した門野重九郎がいます。
60周年を機に、草創期に先進的な海外に学び、新たな国際的視野で創業起業した先達の“積極果敢な企業家精神”に倣い、コロナ後の「新しい時代」を創り上げるために、会員・役員・議員・青年部・女性部の全員参加での課題共有と、解決への道筋を提示し、力強く前へと進める所存です。
鳥羽商工会議所 会頭 中村正人